結論:猫には犬のような狂犬病予防法に基づく登録・鑑札の制度がなく、引っ越しをしても役所への届出は原則不要です。ただし、一部の自治体では条例で独自の登録制度を設けているほか、マイクロチップを装着し環境省のデータベースに登録している猫は、飼い主の住所変更届が別途必要になります。
猫には犬のような「登録・鑑札」の義務がない
犬の飼い主は狂犬病予防法に基づき、犬の登録と鑑札の交付、毎年の狂犬病予防注射が義務付けられています。引っ越しの際に「登録事項変更届」が必要になるのはこのためです。
一方、猫は狂犬病予防法の対象外です。全国一律で猫の登録や鑑札を義務付ける法律は存在せず、猫を連れて引っ越しをしても、犬のような「登録事項変更届」を役所に提出する必要は原則としてありません。「犬は届出が必要なのに、猫は何もしなくていいの?」と不安になる飼い主も多いですが、法律上はこれが正しい理解です。
「届出不要」が誤解を生みやすい理由
猫の引っ越し手続きについて検索すると、「猫も登録が必要」という情報と「猫は届出不要」という情報が混在していて、飼い主が混乱しやすいポイントです。この違いが生まれる主な理由は次の2つです。
- 犬の登録制度(狂犬病予防法)と混同されている:犬の飼い主向けの案内をそのまま猫にも当てはめてしまうケース
- マイクロチップの登録制度と、狂犬病予防法上の登録が別物であることが伝わりにくい:マイクロチップ装着済みの猫は別途手続きが必要なため、「猫も何か手続きがある」という情報だけが独り歩きしやすい
引っ越しにあたって迷ったら、「役所への犬猫登録の届出(狂犬病予防法)」と「マイクロチップの登録情報変更(環境省データベース)」は別の制度だと切り分けて考えると整理しやすくなります。
例外:自治体の条例で登録を定めている地域もある
数は多くありませんが、離島など特定の地域では、地域独自の条例で猫の登録や届出を義務付けている自治体があります。狂犬病予防対策や外来種対策、地域猫対策などの目的で、猫の飼育について独自のルールを設けているケースです。
このような地域に引っ越す場合は、猫であっても転入先の自治体(役所の生活環境・衛生担当窓口など)に確認しておくと安心です。ほとんどの地域では該当しませんが、「猫だから絶対に何もしなくていい」と思い込まず、念のため一度確認しておくことをおすすめします。
マイクロチップを装着している猫は住所変更の届出が必要
2022年6月1日以降、ブリーダーやペットショップなどの販売業者から取得した犬猫は、マイクロチップの装着と、環境省の「犬と猫のマイクロチップ情報登録」制度への登録が義務付けられています。取得から30日以内の装着・登録が必要です。
すでに家庭で飼っている猫の場合、マイクロチップの装着自体は努力義務にとどまりますが、装着済みであれば登録は義務となります。マイクロチップを装着し環境省のデータベースに登録している猫については、引っ越しなどで飼い主の住所が変わった場合、変更が生じた日から30日以内に、指定登録機関(環境省のマイクロチップ情報登録サイト)へオンラインで住所変更の届出を行う必要があります。この変更届の手数料は無料です。
つまり、次のように整理できます。
- マイクロチップ未装着の猫:狂犬病予防法の対象外なので、引っ越しに伴う役所への届出は原則不要
- マイクロチップ装着・登録済みの猫:役所への届出は不要でも、環境省データベース側の住所変更手続きは必要
引っ越し先が決まったら確認しておきたいこと
猫を連れての引っ越しでは、法律上の届出義務がなくても、次のような点は確認・準備しておくと安心です。
- マイクロチップを装着している場合は、環境省データベースの住所・電話番号を最新の状態に更新しておく
- 首輪や迷子札を付けている場合は、連絡先の情報を新しい住所・電話番号に更新する
- 引っ越し先の自治体に、条例による独自の登録制度がないか念のため確認する
- かかりつけの動物病院を変更する場合は、ワクチン接種歴などの情報を引き継げるようにしておく
移住先での動物病院の探し方やペット保険の住所変更については、移住先でのかかりつけ動物病院・ペット保険の切り替え方で解説しています。
まとめ
- 猫は狂犬病予防法の対象外のため、引っ越しに伴う役所への登録事項変更届は原則不要
- 「届出不要」という情報は、犬の登録制度やマイクロチップの登録制度と混同されて誤解されやすい
- 離島など一部の自治体では条例で独自の登録制度を設けている場合があるので、心配なら転入先に確認する
- マイクロチップを装着・登録している猫は、環境省データベース側で住所変更の届出(無料)が必要


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