確認日:2026年8月11日
移住支援金は、世帯で最大100万円、単身で最大60万円、18歳未満の子ども1人につき最大100万円が加算されます。ただしこの「最大」には意味があり、実際にいくら支給されるかは都道府県が設定します。そしてもう一点、移住支援金は非課税ではなく、一時所得として課税されます。
国の制度ページでも、実施期間・支給額などの詳細は都道府県・市町村によって異なると案内されています。対象自治体か、実際の支給額、申請期限は、移住先の自治体の最新案内で確認してください。
金額の基本形
まず、国が示している上限額です。
| 区分 | 金額(上限) |
|---|---|
| 世帯での移住 | 最大100万円 |
| 単身での移住 | 最大60万円 |
| 子育て加算 | 18歳未満の子ども1人につき最大100万円 |
| 起業支援金(別枠) | 最大200万円 |
子育て加算は人数分つきます。世帯で移住し、18歳未満の子どもが2人いれば、100万円+100万円×2で最大300万円という計算になります。
ただし、ここからが実際の話です。
「最大」の意味:金額を決めるのは都道府県
内閣府の制度説明には、具体的な金額は都道府県が設定すると明記されています。国が示しているのは上限であって、全国どこでも同じ額が出るわけではありません。地方創生「移住支援金」の公式ページも、実施自治体の一覧と制度の対象要件を案内しています。
移住支援金は、移住先の市町村が支給主体です。そして、その市町村が事業を実施していなければ、そもそも支援金はありません。「東京から地方へ移住すれば必ず100万円」ではないというのが出発点です。
確認すべきことは3つです。
- 移住先の市町村が移住支援事業を実施しているか
- その市町村での支給額がいくらか(世帯・単身・子育て加算それぞれ)
- 市町村独自の上乗せや追加要件があるか
長崎県のように、県の案内で「子育て加算は市町によって取扱いが異なる場合がある」と明記しているところもあります。都道府県の移住サイトで全体像を掴み、最後は移住先の市町村に直接確認するという順番が確実です。
移住先の候補を「支援金が高い順」に選ぶのはおすすめしません。支援金は一度きりで、住み続けるのはその後の何十年です。ただ、同じくらい魅力を感じている候補が複数あるなら、金額差を判断材料に加えるのは合理的です。
子育て加算は2023年4月から100万円になった
ここは、古い記事がそのまま残っている典型的な部分です。
子育て加算は2022年度に新設されましたが、当初の金額は今よりずっと小さいものでした。令和5年(2023年)4月1日から、18歳未満の子ども1人につき最大100万円に引き上げられています。
岩手県の案内では、令和5年4月1日以降の移住について1人あたり100万円と示されており、申請年度の4月1日時点で18歳未満であることが対象の基準とされています。
検索で出てくる記事のなかには、引き上げ前の金額のまま更新されていないものがあります。子育て加算の金額が書かれた記事を読むときは、その記事がいつ書かれたかを確認してください。 家族4人で移住する場合、この差は数百万円になります。
もらうための条件
金額の話の前提として、要件を整理しておきます。大きく3つです。
① 移住元の要件
移住直前の10年間で通算5年以上、かつ直近1年以上、東京23区に在住していたこと。または、東京圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)の条件不利地域を除く地域に住みながら、東京23区へ通勤していたことです。東京圏の条件不利地域に住みながら東京23区内の大学等へ通学し、23区内の企業等に就職した人は、通学期間を対象期間に加算できる場合があります。
「東京都に住んでいた」ではなく「23区」が基準である点に注意してください。多摩地域から地方へ移住する場合、23区への通勤実績が必要になります。
② 移住先の要件
東京圏外の道府県、または東京圏内の条件不利地域への移住であること。東京圏内でも、檜原村や奥多摩町など条件不利地域に指定された市町村は対象になります。「東京都内だから対象外」と決めつけないでください。
あわせて、転入後1年以内に申請し、5年以上継続して居住する意思があることが求められます。自治体によって申請できる時期や必要書類が追加されることがあるため、移住先の募集要項を確認してください。
③ 就業等の要件
次のいずれかに該当する必要があります。
- 都道府県のマッチングサイトに掲載された求人などで、地域の中小企業等へ就業する
- テレワークで移住前の業務を継続する
- 起業して起業支援金の交付決定を受ける
- 市町村が独自に定める関係人口などの要件を満たす
仕事の探し方については「移住支援金の対象になる仕事の探し方|マッチングサイト求人・テレワーク・起業」で詳しく扱っています。
制度の名前が変わっている
調べていて混乱しやすいのが、制度名です。
移住支援金の財源となる交付金は、「デジタル田園都市国家構想交付金」から「新しい地方経済・生活環境創生交付金」(第2世代交付金)に名称が変わりました。 所管も「新しい地方経済・生活環境創生本部」となっています。それ以前は「まち・ひと・しごと創生交付金」でした。
制度そのもの(地方創生移住支援事業)は続いていますが、自治体のページや解説記事に出てくる名前は、書かれた時期によってバラバラです。古い名前が出てきても、別の制度と思う必要はありません。 ただし、名前が古いままの記事は金額や要件も古い可能性があるので、必ず自治体の最新ページで確認してください。
見落とされがち:移住支援金は課税される
最後に、金額の話でいちばん抜けやすい部分です。
移住支援金は非課税ではありません。 国税庁の文書回答事例で、移住支援金は一時所得に該当すると示されています(所得税法第34条第1項)。営利を目的とする継続的行為から生じたものではなく、労務の対価でもなく、一時に支給されるものだからです。国税庁の課税関係に関する文書回答事例も確認できます。
一時所得の計算は次のとおりです。
一時所得の金額 = 総収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除額(最高50万円)
そして、この金額の2分の1が、給与所得などと合算されて課税されます。
具体的に当てはめてみます(他に一時所得がない場合)。
| 受け取った額 | 特別控除後 | 課税対象(2分の1) |
|---|---|---|
| 単身60万円 | 10万円 | 5万円 |
| 世帯100万円 | 50万円 | 25万円 |
| 世帯100万円+子1人100万円 | 150万円 | 75万円 |
50万円の特別控除があるので、単身60万円だけなら課税対象となる一時所得は5万円です。一方、世帯や子育て加算がつくと金額が大きくなります。ただし、確定申告の要否は給与以外の所得の合計、年末調整、ほかの一時所得などで変わるため、「受け取った額が20万円を超えたら必ず申告」とは限りません。国税庁の一時所得の計算方法で確認し、迷う場合は税務署や税理士に相談してください。
注意したいのは、一時所得は他の一時所得と合算されることです。同じ年に生命保険の満期金を受け取っていれば、特別控除50万円は両方あわせて1回分しか使えません。移住のタイミングと保険の満期が重なると、思ったより税額が出ることがあります。
移住した年の確定申告をどこに出すかは「引越した年の確定申告はどこの税務署に出す?」で整理しています。翌年度の住民税にも影響するため、「会社員が引越したときの住民税|特別徴収の切り替え手続き」もあわせてご覧ください。
支援金の全額を生活費として使い切る前提で家計を組まないこと。 これが実務上いちばん大事な注意点です。
受け取ったあとの返還義務(3年・5年の区切りと免除条件)については「移住支援金を返還しなければならないケースと免除条件」で詳しく扱っています。
公式情報
- 地方創生「移住支援金」(制度の対象、上限額、実施自治体一覧)
- 第2世代交付金(移住・起業・就業型)
- 国税庁「地方創生移住支援事業に基づく支援金の課税関係」
- 国税庁「No.1490 一時所得」
- 地方創生移住支援事業の実施自治体一覧(PDF)
まとめ
- 上限は世帯100万円・単身60万円、18歳未満の子ども1人につき最大100万円の加算。子ども2人なら合計最大300万円
- 「最大」であり、実際の金額は都道府県が設定する。市町村が事業を実施していなければ支給されない。都道府県サイトで全体像を掴み、最後は移住先の市町村に確認する
- 子育て加算は2023年4月1日から1人100万円。それ以前の金額で書かれた記事が今も残っているため、記事の作成時期を確認する
- 要件は3つ。移住元(直近10年で通算5年以上・直近1年以上、23区に在住または通勤)、移住先(東京圏外または東京圏の条件不利地域、転入後1年以内に申請、5年以上の居住意思)、就業等(就業・テレワーク・起業・関係人口)
- 財源の交付金は「新しい地方経済・生活環境創生交付金」に名称変更。古い名前で書かれた記事は金額や要件も古い可能性がある
- 移住支援金は一時所得として課税される。 特別控除50万円を引いた額の2分の1が課税対象。申告要否は、ほかの一時所得や給与所得者の条件を含めて判定する
※本記事は2026年8月11日に、地方創生・国税庁の公開情報を確認して更新した案です。支給額、対象自治体、申請期限、返還条件は自治体ごとに異なるため、申請前に移住先の市町村へ確認してください。


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