国民健康保険の転出・転入手続き|県外へ引越すときの流れ

仕事・社会保険

国民健康保険は市区町村ごとの制度なので、県外へ引越すときは旧住所で「やめる」手続きと、新住所で「入る」手続きの両方が必要です。どちらも期限は14日以内で、自動では移りません。

国保は市区町村ごとの制度。だから2回手続きする

会社の健康保険と国民健康保険の一番の違いは、保険者が住んでいる市区町村(と都道府県)であるという点です。住所が変われば保険者そのものが変わるため、住民票を移しただけでは国保の資格は引き継がれません。

そのため、県外へ引越す場合の流れはこうなります。

  1. 旧住所の市区町村で国民健康保険をやめる届出(資格喪失)
  2. 新住所の市区町村で国民健康保険に入る届出(資格取得)

ここで見落とされやすいのが、転出届・転入届とは別の手続きであるという点です。同じ役所の中でも住民票の窓口と国保の窓口は担当課が違うため、転出届を出しただけで帰ってしまうと国保の手続きが漏れます。転出届・転入届そのものの違いについては「転出届・転入届・転居届の違いを分かりやすく解説」で整理しています。

なお、同じ市区町村の中で引越す場合(転居)は保険者が変わらないため、住所変更の届出だけで済みます。

転出するとき:資格喪失の届出と証の返却

旧住所の市区町村では、国民健康保険をやめる届出をします。期限は転出日から14日以内です。

このとき返却するものが複数あります。

  • 資格確認書(または有効期限内の被保険者証)
  • 限度額適用認定証
  • 限度額適用・標準負担額減額認定証
  • 特定疾病療養受療証
  • 高齢受給者証(70歳以上の方)

大阪市の案内では、限度額適用認定証などを持っている場合は資格確認書とあわせて返却するよう求めています。

ここで注意したいのが、マイナ保険証を使っている人も手続きは必要だという点です。マイナンバーカードで受診できているので何もしなくてよいと思われがちですが、大阪市も「マイナ保険証であっても住所変更の手続きが必要」と明記しています。カード自体は変わらなくても、その裏側で紐づいている保険者情報は自動では切り替わりません。

転入するとき:14日以内に加入の届出

新住所の市区町村では、転入届を出したあとに国民健康保険の加入届を出します。こちらも期限は14日以内です。

必要になるものは自治体によって多少異なりますが、おおむね次のとおりです。

  • マイナンバーが確認できるもの
  • 窓口に来た人の本人確認書類
  • 保険料の口座振替に使う通帳またはキャッシュカードと届出印

大阪市では、キャッシュカードがあればその場で口座振替の手続きまで完了できると案内しています。あらかじめ用意しておくと二度手間になりません。

なお、引越しと同時に就職して会社の健康保険(被用者保険)に加入する場合は、国保への加入は不要です。この場合は勤務先が手続きをします。退職と移住が重なる場合の健康保険の選択については「退職と地方移住が重なる場合の健康保険・年金・住民税」で解説しています。

届出が遅れるとどうなるか

「14日を過ぎたらどうなるのか」は多くの人が気にする点ですが、結論から言えば保険料が免除されることはなく、不利益だけが残ります

保険料はさかのぼって請求されます。 国保の資格は転入した日に発生していたものとして扱われるため、届出が遅れた期間の保険料もまとめて請求されます。大阪市の案内では、最大2年さかのぼって保険料が発生するとされています。届出を遅らせても、その間の保険料が浮くわけではありません。

その間に受診すると医療費は全額自己負担になります。 加入の届出をしていない状態では、窓口で保険証も資格確認書も提示できないため、いったん10割を支払うことになります。あとから療養費の支給申請をすれば自己負担分を除いた金額は戻ってきますが、立て替えの負担と申請の手間がかかります。

引越し直後は体調を崩しやすい時期でもあります。転入届と同じ日に国保の窓口まで足を延ばしておくのが、結局いちばん確実です。転入後14日以内に必要な手続きは他にもあるため、「引越し後14日以内にやる行政手続き一覧」もあわせて確認してください。

同じ都道府県内の引越しなら引き継げるものがある

意外に知られていないのが、同じ都道府県内での引越しかどうかで扱いが変わるという点です。

国民健康保険は2018年度から都道府県も保険者となる仕組みに変わりました。その結果、同じ都道府県内の市町村間で引越した場合、一定の条件を満たせば高額療養費の「多数回該当」が通算されます。

多数回該当とは、直近12か月のあいだに高額療養費に4回以上該当すると、4回目以降の自己負担限度額が下がる仕組みです。所沢市の案内では、県内の他市町村から転入し「継続性が判断された世帯」については、過去12か月の該当回数が県単位で通算されるとしています。

県外へ引越す場合、この通算は引き継がれません。 継続的に治療を受けていて多数回該当が近い、あるいはすでに該当しているという状況であれば、県外への移住かどうかで負担が変わってくる可能性があります。医療費が高額になりやすい持病がある場合は、移住先を検討する段階で意識しておくとよいでしょう。

また所沢市は、県内で転居した月については、転居前後の市町村でそれぞれ自己負担限度額が本来の2分の1に設定されると案内しています。月の途中で引越すと保険料や医療費の扱いが独特になるため、この点はあらためて別記事で取り上げます。

保険料の金額は市区町村ごとに違う

国民健康保険料(税)の料率は市区町村が決めるため、引越し先によって金額が変わります。同じ都道府県内であっても市町村ごとに差があります。

会社員が加入する健康保険は全国一律の考え方で運営されているものが多いのに対し、国保は地域差がはっきり出ます。自営業やフリーランスで移住を考えている場合、移住先の候補を比べる段階で国保料の水準を確認しておくと、住み始めてからの想定外を避けられます。多くの市区町村が保険料の試算ツールや料率表をウェブサイトで公開しています。

なお、年度の途中で引越した場合の保険料は月割りで計算され、旧住所と新住所の両方から請求が来ることがあります。二重に取られているように見えて不安になりやすいところですが、対象となる月は重なりません。仕組みは月の途中で引越した場合の国民健康保険料|二重請求に見える理由で詳しく説明しています。

75歳以上の方は国民健康保険ではなく後期高齢者医療制度に加入しているため、手続きの流れが異なります。「高齢者が県外へ引越す場合の後期高齢者医療制度の手続き」をご覧ください。

会社の健康保険(被用者保険)に加入している場合の扱いは、会社員が引越したときの健康保険はどうなる?本人の手続きが不要な理由で解説しています。

年金の住所変更が必要かどうかは、引越しで国民年金の住所変更は必要?届出が不要になるケースで解説しています。

まとめ

  • 国保は市区町村ごとの制度。県外へ移るときは旧住所で資格喪失、新住所で資格取得の2回の届出が必要で、いずれも14日以内
  • 転出時は資格確認書のほか、限度額適用認定証や特定疾病療養受療証もあわせて返却する。マイナ保険証を使っている人も手続きは省略できない
  • 届出が遅れても保険料は最大2年さかのぼって請求される。その間に受診すると窓口で10割負担になり、あとから療養費の申請が必要になる
  • 同じ都道府県内の引越しなら高額療養費の多数回該当が通算される場合がある。県外へ移るとリセットされるため、治療中の人は移住先の検討材料になる

マイナ保険証や資格確認書の扱いは資格確認書とは?マイナ保険証がない場合の受診方法で解説しています。

公式情報・確認先

この記事は2026年7月26日に確認しました。必要書類・窓口・保険料は自治体や加入状況で異なるため、手続き前に最新の公式情報をご確認ください。

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