マイナンバーと基礎年金番号が結びついていれば、引越しにともなう年金の住所変更の届出は原則として不要です。住民票を移せば、その情報が日本年金機構に連携されます。
原則は「届出不要」。ただし前提条件がある
かつては引越しのたびに年金の住所変更を届け出る必要がありましたが、現在は状況が変わっています。
日本年金機構は、マイナンバーと基礎年金番号が結びついている被保険者については、住所変更の届出は不要としています。住民票を異動させれば、その情報が年金の記録にも反映される仕組みです。年金を受け取っている人についても同様で、マイナンバーが収録されていれば原則不要とされています。
つまり、多くの人にとって「転入届を出せば年金の手続きは終わっている」ことになります。役所の年金窓口に並ぶ必要はありません。
自分のマイナンバーと基礎年金番号が結びついているかどうかは、ねんきんネットか、最寄りの年金事務所で確認できます。過去に姓が変わった、複数の年金手帳を持っていた、といった心当たりがある場合は、一度確認しておくと安心です。
届出が必要になるのはこんなケース
原則不要とはいえ、例外もあります。日本年金機構が挙げているのは次の場合です。
- マイナンバーと基礎年金番号が結びついていない人
- マイナンバーを持たない海外居住者、短期在留外国人
これに当てはまる場合、届出先は加入している種別によって変わります。
| 種別 | 該当する人 | 届出先 |
|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 自営業・フリーランス・学生・無職の方など | 市区町村の国民年金窓口 |
| 第2号被保険者 | 会社員・公務員 | 勤務先(事業主が提出) |
| 第3号被保険者 | 第2号に扶養されている配偶者 | 配偶者の勤務先 |
第2号・第3号の方の扱いについては「会社員が引越したときの健康保険はどうなる?本人の手続きが不要な理由」でも触れています。健康保険と年金は同じ届出で処理されるため、あわせて確認すると分かりやすいはずです。
年金を受け取っている方については、マイナンバーが未登録の場合のほか、住民票の住所と実際に住んでいる住所が異なる場合、成年後見を受けている場合にも「年金受給権者 住所変更届」の提出が必要とされています。高齢の親を呼び寄せるときなどは、この点に注意してください。呼び寄せ全般の手続きは「遠方に住む親を呼び寄せる場合の住民票・世帯の手続き」にまとめています。
保険料の金額は引越しでは変わらない
国民健康保険と大きく違うのが、国民年金の保険料は全国一律の定額だという点です。令和8年度の保険料は月額17,920円で、どこに住んでいても同じです。
国民健康保険料は市区町村ごとに料率が異なるため、移住先によって負担が変わります。一方、国民年金にはその地域差がありません。「地方に移れば年金保険料も安くなる」ということはないので、移住後の家計を試算するときは分けて考えてください。
なお、保険料をまとめて前払いする「前納」を利用すると割引が適用されます。移住して収入が安定するまで支出を抑えたいという場合と、割引を優先したい場合で判断が分かれるところです。
納付方法は引き継がれる。ただし納付書は住所に届く
納付方法についても整理しておきます。
口座振替とクレジットカード納付は、そのまま継続されます。 引落し口座やカードは住所と関係がないため、引越しによる手続きは不要です。ただし、移住にあわせて銀行口座を解約・変更する予定がある場合は、年金の引落しに使っていないか確認してください。
納付書で納めている場合、納付書は住所に送られます。 住民票を移していれば新住所に届きますが、住民票を移していない、あるいは実際の住まいと住民票が違うといった状態だと、納付書が届かないまま未納になるおそれがあります。
日本年金機構は納付方法として、納付書・口座振替・クレジットカード・スマートフォンアプリ・電子納付の5つを案内しており、いずれも手数料はかかりません。移住を機に、納付書払いから口座振替に切り替えておくと、住所の影響を受けなくなるので確実です。
免除・納付猶予・学生納付特例を受けている場合
保険料の免除や納付猶予、学生納付特例を受けている方は、引越しをしてもすでに承認されている期間の扱いは変わりません。承認は日本年金機構が管理しているため、市区町村が変わっても引き継がれます。
注意したいのは、翌年度以降の手続きです。全額免除や納付猶予については、申請の際に継続審査を希望していれば翌年度の申請を省略できる場合がありますが、学生納付特例は毎年度の申請が必要です。また、失業を理由とした特例免除なども、あらためて申請が必要になります。申請の窓口は、引越し後は新住所の市区町村になります。
そしてもうひとつ、移住者にとって重要な点があります。移住によって所得が下がった場合、新たに免除や納付猶予の対象になる可能性があります。 免除の審査は前年所得で行われるため、移住した年度はまだ対象にならないこともありますが、退職や廃業をともなう場合は失業等による特例が使えることがあります。保険料の支払いが厳しいと感じたら、未納のまま放置せず、年金事務所か市区町村の窓口に相談してください。未納と免除では、将来の年金額や障害年金・遺族年金の受給資格に大きな差が出ます。
移住にあわせて働き方が変わる場合は「種別変更」の届出
最後に、混同されやすい点を整理します。ここまでは「住所が変わるだけ」の話でしたが、加入する種別そのものが変わる場合は、住所変更とは別に届出が必要です。
会社を退職して自営業やフリーランスになる、あるいは無職になるという場合、第2号被保険者から第1号被保険者に変わります。この種別変更の届出は、14日以内に市区町村の窓口で行います。これは自動では処理されません。配偶者が第3号だった場合、その配偶者も第1号への種別変更が必要です。
移住と退職・独立が重なるケースはよくありますが、そのときは「住民票を移す」「国民健康保険に入る」「国民年金の種別変更をする」の3つが同時に発生します。それぞれ別の届出です。全体像は「退職と地方移住が重なる場合の健康保険・年金・住民税」と「国民健康保険の転出・転入手続き|県外へ引越すときの流れ」で確認してください。独立して事業を始める場合の手続きは「個人事業主が県外へ引越す場合の住所変更手続き」にまとめています。
まとめ
- マイナンバーと基礎年金番号が結びついていれば、年金の住所変更の届出は原則不要。年金受給者もマイナンバーが収録されていれば不要
- 例外は、番号が結びついていない人、マイナンバーを持たない海外居住者など。年金受給者は住民票と実際の住所が違う場合や成年後見を受けている場合も届出が必要
- 国民年金保険料は全国一律の定額(令和8年度は月17,920円)。国保と違って地域差はなく、引越しで金額は変わらない
- 免除や学生納付特例はすでに承認された期間はそのまま。翌年度の申請窓口は新住所の市区町村になる。退職・独立をともなう移住では、住所変更とは別に「種別変更」の届出が14日以内に必要
障害者手帳や障害福祉サービスの引越し手続きは「障害者手帳は引越しでどうなる?県外転出時の手続きと障害福祉サービスの引継ぎ」をご覧ください。
公式情報・確認先
この記事は2026年7月26日に確認しました。加入状況や住民票の登録状況で扱いが変わるため、手続き前に最新の公式情報をご確認ください。


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